「お金がないから塾に行けない」「地方だから近くに塾がない」「周りに目指すべきロールモデルがいない」。そんな複合的な要因によって生じる「教育格差」に、本気で立ち向かう学生たちがいます。
早稲田大学ボランティアセンターからも支援を受ける学習支援サークル「BORDER FREE」。彼らが目指すのは、単に子どもたちの学力を伸ばすことだけではありません。
今回は、子どもたち、そして活動するメンバー自身にとってもかけがえのない「心の居場所」となっている、BORDER FREEのあたたかな活動の実態と彼らが描く未来の姿に迫ります。

勉強を教えるだけじゃない。子どもたちの心に寄り添う3つのアプローチ
BORDER FREEの活動の根底にあるのは、環境に左右されず、一人でも多くの子どもたちの笑顔と選択肢を広げたいという強い想いです。その想いは、子どもたちの状況に合わせた3つの柔軟な支援の形として現れています。
まず、地域に根差した「放課後学習教室」では、多摩市や早稲田大学付近を舞台に、子どもたちの自習をサポートしています。ここで講師たちが何よりも大切にしているのが、子どもたちとの「斜めの関係」です。親でも学校の先生でもない、年齢や価値観の近い「良きお兄さん・お姉さん」として関わること。家庭や学校でうまく馴染めない子どもたちにとっても、ここは物理的な勉強スペースを超えた、大切な心の拠り所となっています。
さらに、経済的な理由で質の高い教育を諦めてほしくないという切実な願いから生まれたのが「集団授業教室」です。営利塾に勝るとも劣らない本格的な都立高校入試対策や学校のフォロー、英検対策などの授業を、月額3,000円程度という極めて安価な価格で届けています。講師自らが子どもたちの目標に合わせて教材やプリントを手作りし、熱意を持って教壇に立つ姿には、並々ならぬ責任感が宿っています。
また、こうした支援の輪は、画面を越えて地理的な制約をも超えていきます。「オンライン家庭教師 STRADA」では、Zoomなどのツールを活用した1対1の指導を展開しています。周りに大学進学について相談できる人がいない地方の生徒にロールモデルとしての刺激を与えたり、聴覚過敏などで集団の中にいるのが難しい生徒のニーズに応えたりと、オンラインだからこそ出会える一人ひとりの学びに、場所の制限なく寄り添い続けています。
NPOとしての高い専門性と、学生サークルとしての“ゆるやかさ”
先進的で質の高い活動を行うBORDER FREEは、全国に拠点を展開する大きな組織でもあります。その中でも早稲田生が中心となって活気をもたらしているのが「東京ベース」です。
驚くべきは、活動のクオリティの高さに対して、メンバーたちの関わり方が非常にしなやかで自由であるという点。「メンバー全員が常にフル稼働しなければならない」という義務感は一切なく、他サークルや学生祭の実行委員と兼任しながら、各自が無理のないペースで講師を務めている人も。
この居心地の良さを支えているのが、彼らが育んできた「学生サークル」としてのあたたかな文化。バーベキューやフットサル、夏休みの合宿といった親睦イベントが目白押しです。子どもたちの居場所を作るためには、まず自分たち自身にとっても居心地の良いコミュニティであるべき――そんな共通の想いがあるからこそ、メンバー同士が深くつながれる温かな居場所が、自然と形成されています。

自分の可能性に天井を決めない社会を目指して
彼らが教育格差是正の先に見据えているのは、学力や経済的な豊かさの先にある「生活・世界格差の是正」という深いビジョンです。
日常の中でどんな人と出会い、どんな価値観に触れ、どんな経験をしたか。それこそが人生の豊かさを形作ると、彼らは信じています。「お金がないから、環境が違うから体験できない」と、子どもたちが自ら天井を設けて未来を諦めてしまう社会を変えたい。そんな強い願いが、日々の活動の原動力となっています。
今後は、単に拠点を広げるだけでなく、その土地を愛し、その地域の子どもたちのために汗を流したいという強い想いを持った仲間たちとともに、この支援の輪をじっくりと全国へとつないでいく予定です。
「教育を届けたい」という熱い志と、学生らしい笑顔にあふれたコミュニティ。誰かの力になりたい、そして自分自身も成長できる温かな居場所を探している人にとって、BORDER FREEの扉はいつでも開かれています。
