
画像:早稲田大学中央図書館
引用元:早稲田大学公式ホームページhttps://www.waseda.jp/library/libraries/central/about/

早稲田大学戸山図書館
引用元:早稲田大学公式ホームページhttps://www.waseda.jp/library/libraries/toyama/
静けさの中で支えられていた——早稲田の“図書館推し活”を語ろう
こんにちは、文学部4年のN.Hです。
大学生活も終わりが見えてきた今、ふと思い出す場所がある。友達と集まるカフェでも、授業を受けた教室でもない。気づけば何度も通っていた、静かな空間——図書館だ。
早稲田には、学生たちに愛される“二大図書館”がある。キャンパスのシンボル的存在・中央図書館(通称:中央)と、文キャン民にとっては生活の一部になっている戸山図書館(通称:戸図)。どちらにもそれぞれの魅力があり、どちらにも“そこでしか過ごせなかった時間”がある。
中央の威厳、戸山のぬくもり。それぞれの良さが際立つ五番勝負
中央は、アクセス・設備・スケール感がずば抜けている。早稲田駅から徒歩5分以内、大隈講堂の目の前。観光客の視線をすり抜けながらガラス扉をくぐると、そこには“THE・大学図書館”が広がっている。高い天井、ずらりと並ぶ書棚、地下に広がる無数のブース。ここで勉強していると、「自分、今ちゃんと学生やってるな…」という気持ちが湧いてくる。
一方の戸山は、“通う図書館”としての優しさが光る。文キャンの建物から直結、エレベーターを上がるとすぐ静けさに包まれる。ガチすぎず、かといって緩くもない。空調がちょうどよくて、椅子の座り心地も地味にいい。人が少ないからこそ味わえる空間の余白もまた、魅力のひとつ。
座席確保のしやすさで言えば戸山に軍配が上がる。中央はとにかく人が多い。人気の窓際ブースは争奪戦。逆に戸山は、お気に入り席を高確率で確保できる“穴場感”が根強い。特に平日午前の戸山は「これって貸し切り?」と錯覚するほどの静けさに包まれていて、個人的には“朝図書館”に一番向いていると思っている。
集中か、リラックスか。気分で選べる図書館の二刀流
図書館を“勉強するための場所”として選ぶなら、どちらも十分すぎるくらい機能する。ただしタイプは違う。
中央は、緊張感を含んだ空気が集中力を引き出してくれるタイプ。周りもガチで作業しているからこそ、「自分も頑張らなきゃ」と自然に姿勢が伸びる。
戸山は、心地よく集中できるタイプ。音も人も少なく、ふっと“気づいたら進んでいた”という作業モードに入りやすい。不思議と時間の流れ方が違う気がする。
“ガチで籠もってレポート仕上げたい日”は中央、“授業の空きコマにちょっと作業したい日”は戸山。そんな使い分けができるようになると、大学生活の快適度が一気に上がる。
なぜか“お気に入り席”ができる現象、全図書館民に共通説
図書館で過ごす時間が増えるほど、“お気に入りの席”というものが生まれてくる。不思議なことに、「この席じゃないと集中できない」と思わせる謎の魔力がある。たとえば、中央の地下2階の角のブース。戸山の4階、窓から陽が入る午後の席。なぜか落ち着く。なぜか作業が進む。科学では説明できない相性みたいなものが、図書館には確かにある。
中には、隣に人が来ないように“あえて角席を選ぶ”という戦略を取る人もいる。席を確保してから資料を探しに行き、30分以上戻らない猛者もたまに見かける。そんな“図書館の文化”の一部になっている自分に気づいたとき、「あ、自分も大学生っぽいな」と思えた。
静かだけど、そこには人の営みがある
図書館には、“静かなコミュニティ”がある。誰も話さないけど、誰もが誰かを見ていて、誰かに刺激を受けている。隣の席の人が資料をめくる音、キーボードを叩くテンポ。そういったものに引っ張られるようにして、自分もノートに向かう。
言葉を交わさなくても、「ここにいる人たち、みんな頑張ってるんだろうな」という空気が伝わってくる。図書館って、そういう場所だ。
大学でいちばん静かだったけど、いちばん“大学っぽい”場所だった
卒論の構成に行き詰まった日、ESを書き直した日、授業に出る気が起きなくてとりあえず図書館に向かった日。誰にも会いたくない日も、何かに追われていた日も、図書館だけはいつもそこにいてくれた。
目立つわけじゃないし、盛り上がる場所でもない。でも、「大学生活で一番通った場所」を思い返してみたとき、真っ先に浮かぶのが図書館だった。
中央のスケールと厳かな雰囲気。戸山のちょうどいい静けさと居心地の良さ。それぞれの良さを知っているからこそ、「どちらが上」なんて決めなくてもいいと思える。むしろ、あの二つの空間を気分で使い分けられたことが、早稲田にいたことのささやかな特権だった。
お気に入りの席がある。静かな時間に助けられた記憶がある。何気ない一日を、何かに集中する時間に変えてくれた場所がある。そういう思い出のある人は、もう“立派な図書館民”だと思う。
図書館って、大学の中でもっとも“派手じゃないけど確かな場所”だった。
そして、それがきっといちばん尊い。