
スタジアムに響き渡る熱い声援と、独特の一体感で知られる千葉ロッテマリーンズの応援。そんなロッテを愛する学生たちが集まる、関東の大学で唯一のファンサークルが「MAR-KUNS」です。2005年頃から細々と続いていた歴史を持ちながらも、ここ2年で一気に活発化し、今や約50名の大所帯へ。今回は、単なる応援団の枠に留まらない「MAR-KUNS」のリアルな活動実態や、ファンサークルだからこそ直面するちょっぴりユニークな課題、そして彼らがスタジアムの巨大スクリーンに描く未来のビジョンに迫ります。
「とにかく緩い」が繋ぐ、性別も大学の壁も越えた心地よい距離感
プロ野球のファンサークルと聞くと、「ディープなファンばかりで、初心者は入りづらいのでは?」という印象を持つかもしれません。しかし、MAR-KUNSの最大の特徴は、良い意味で境界線のない「とにかく緩い」雰囲気にあります。
所属する約50名のメンバーのバックグラウンドは実に多彩です。関東唯一のロッテ公認サークルということもあり、メンバーの約半分は他大学から集まったインカレ学生。さらに、ファンクラブに加入するような熱心なファンがいる一方で、「特定の選手をきっかけに興味を持った」「友達に連れられて入ったけれど、実は野球のルールもよく分からない」という初心者まで、誰もが等しくウェルカムな姿勢で迎え入れられます。
男子が6〜7割を占めていますが、不定期で女子会が開催されるなど、性別の垣根なく「ロッテ」という共通の話題で自然と盛り上がれる環境が整っています。先輩・後輩の厳しい上下関係もなく、1人で現地観戦に行ってたまたま会ったメンバー同士で、突発的なご飯会が始まることもしばしば。さらに、野球の枠を飛び出してメンバー同士で車を出してドライブに出かけるなど、日常の延長線上にあるような温かな居心地の良さが、所属メンバーの約6割という高いアクティブ率を支えています。

幕張の風を感じ、都内のスペースで熱狂する多面的な日常
彼らの日常のスケジュールは、プロ野球のシーズンと密接に連動しています。試合がほぼ毎日行われるシーズン中は、週に1回程度のペースで精力的に活動。千葉の本拠地・ZOZOマリンスタジアムへ足を運んで現地で熱い風を感じることもあれば、都内のレンタルスペースを貸し切って、テレビ画面を囲みながらパブリックビューイング形式で賑やかに観戦することもあります。
さらに、彼らの野球愛は「観る」だけに留まりません。サークル内では草野球やキャッチボールも頻繁に行われており、早稲田大学内にある他球団のファンサークルと練習試合を行うなど、球団の枠を越えた学生同士の交流も楽しんでいます。
プロ野球が閉幕する10月以降のオフシーズンになっても、彼らの絆が途切れることはありません。活動の頻度は月1〜2回へと緩やかになりますが、毎月第3金曜日には定期的な食事会が開催され、シーズン中の思い出やプライベートな雑談に花を咲かせる大切な時間となっています。

成績に一喜一憂するリアルな葛藤と、画面を越えて全国へ広がる旅
順調に組織を拡大させているMAR-KUNSですが、ファンコミュニティだからこそのリアルな葛藤も抱えています。それは、サークルの活気が「チームの成績や選手の動向」にダイレクトに左右されてしまうという点です。チームの調子が良く自力優勝の可能性に満ちている時期は観戦会の参加者も膨れ上がりますが、逆に成績が落ち込んでしまうと、メンバーのモチベーションも連動して下がり、集まりが悪くなってしまう傾向があるそう。調子に関わらず恒常的に高い熱量を維持することの難しさは、彼らが日々向き合っているファンサークルならではのリアルな横顔です。
しかし、そんな一喜一憂すらも、分かち合える仲間がいれば格好のエンターテインメントに変わります。近年では遠征活動にも力を入れ始めており、2年前と今年の春には新歓合宿を兼ねて仙台への遠征を敢行。さらに今年の夏には、大阪の京セラドームへの遠征も計画されており、活動の舞台は関東の枠を越えて全国へとダイナミックに広がりつつあります。
狙うは本拠地への足がかりと、10年ぶりの「巨大スクリーン」
ここ2年で新歓活動やSNS発信をリスタートさせ、名実ともに活気づいてきたMAR-KUNSは、すでにその先の大きなビジョンを描いています。
一つは、さらなるサークル規模の拡大と、本拠地に近いエリアへのアプローチです。現在は早稲田大学をベースにしながらインカレ学生を広く受け入れていますが、今後はマリーンズのお膝元である千葉大学をはじめとした千葉県の大学にも働きかけ、「現地観戦にいつでもすぐに集まれる支部」を設立する構想を練っています。
そしてもう一つ、メンバーたちの大きな原動力となっているのが、ZOZOマリンスタジアムの「大型ビジョンへの掲載」という夢です。球場の団体招待枠などを利用することで、スタンドを埋め尽くす観客の目の前にある巨大スクリーンに「MAR-KUNS」の団体名を堂々と映し出すことができます。実は約10年前に一度だけこれを実現した歴史があり、現在のメンバーたちは再びサークルの名を球史に刻むことを目指しています。
「ロッテが好き」という、ただ一つのシンプルな共通点から始まった特別なコミュニティ。勝って笑い、負けて肩を落とし、時に車を走らせて遠くの球場へ旅をする。MAR-KUNSが提供しているのは、単に野球の試合を観る場所ではなく、学生時代のすべての喜怒哀楽を全力で共有できる、かけがえのない青春の居場所そのものなのです。
