
「武道」と聞くと、厳しい上下関係や、力と力がぶつかり合う激しい勝負の世界を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。しかし、早稲田大学「合気道会」の扉を叩くと、そうした先入観は見事に覆されます。勝敗を競うことなく、相手の動きと調和することを重んじる合気道。現在、100名を超える大所帯でありながら、メンバーの約8割が初心者からスタートし、なんと女性会員の方が多く在籍しているという非常に珍しい武道サークルです。今回は、幹事長を務める3年生の青木さんに、初心者や女性が惹きつけられるのびのびとした空気感や、サークルならではの温かい魅力について、たっぷりと話を伺いました!
週6日の活動ながら、自分のペースで通える自由な環境
早稲田大学合気道会は、今年入会した1年生が50名強、2年生以上のメンバーが約50名と、全体で100名を超える大規模なサークルです。活動日は月曜日から土曜日までの週に5日から6日と多く設けられています。練習は大学の道場が使用できないため、主に合気道の本部道場など外部の施設を借りて行われています。活動日は多く設けられていますが参加ノルマはなく、各メンバーが自分の予定に合わせて自主的に参加しています。そのため、ほぼ毎日道場に通い真剣に稽古へ取り組む熱心なメンバーがいる一方で、理系の学部で学業が忙しい学生は「週に1回」や「2週間に1回」といったペースで無理なく参加しています。1回の練習に集まる人数は15名から30名程度で、熱心に取り組む人も、マイペースに続ける人も、それぞれが充実して活動できる環境が整っています。

女性会員が多数!勝敗のない武道ならではの魅力
合気道会の大きな特徴の一つが、女性メンバーの多さです。2年前までは男子学生の方が多かったそうですが、昨年には男女比が半々になり、今年はついに女性が上回り 「4対6」の割合になりました。武道系のサークルで女性の方が多いというのは非常に珍しい現象ですが、そこには合気道という武道特有の性質が深く関わっています。
合気道は、試合をして勝った負けたを競うスポーツではありません。力比べをして相手を無理やり倒すのではなく、相手の動きに合わせて調和し、心と体の動かし方を学ぶ武道です。スポーツにつきものの「勝敗へのこだわり」がないため、堅苦しさやピリピリとした空気がなく、純粋に技を磨くことに集中できます。青木さんによれば、名探偵コナンに登場する遠山和葉ちゃんなど、アニメのキャラクターが合気道を使っている影響で興味を持つ学生もいるそうです。また、新歓などの練習見学に来た際、武道特有の「むきっとしていて怖い」というイメージとは全く異なる、柔らかくて女性でも参加しやすい雰囲気に惹かれて入会を決める人が多いといいます。

8割が初心者。のびのびと成長できる学生主体の運営
現在在籍しているメンバーの約8割は、大学に入ってから初めて合気道に触れた初心者です。そのため、経験ゼロからでも無理なくステップアップできるよう、先輩たちが基礎から丁寧に分かりやすく指導してくれます。
普段の指導環境も非常に穏やかです。現在71、2歳になるという先生が指導にいらっしゃるのは木曜日と土曜日の週2回です。先生は学生の自主性を尊重してくださっており、木曜日と土曜日のご指導のもと、それ以外の日は幹部である3年生を中心に学生が主体となって稽古を運営しています。部活のように厳しいプレッシャーがなく、和やかな雰囲気の中でのびのびと自分自身と向き合いながらも、真摯に技を磨くことができる環境が、これだけ多くの初心者が長く続けられる秘訣となっています。

武道を通じた温かいコミュニティと、一生の趣味への入り口
合気道会の魅力は、道場の中だけにとどまりません。サークル内の人間関係は非常にフラットで、厳しい上下関係やお酒の強要などは一切存在しません。そうしたオープンで居心地の良い環境だからこそ、学年を問わずメンバー同士の仲が良く、練習外での交流も盛んに行われています。
春と夏には、5泊6日や6泊7日といった長期の合宿が開催され、合気道の稽古に打ち込むとともに、レクリエーションで親睦を深めています。それだけでなく、バーベキューや冬のスキー、野球観戦など、季節ごとのイベントも盛りだくさんです。これらのイベントは幹部が用意するものばかりではなく、下級生から「こういう企画をやりたい!」と自発的に声が上がり、みんなで集まって楽しむことも多いそうです。
青木さんは、サークルの将来のビジョンについて、留学生や数多くのOB・OGなど、多様な人々が合気道を通じて交流できる場であり続けたいと語ってくれました。体力や性別に関係なく、お年寄りから若い学生まで一緒にできる合気道。このサークルでの温かい日々が、初心者のメンバーにとっても「一生を通して合気道を続けるきっかけ」になればという願いをもって普段から活動しているそうです。
