食べることが大好きな2年局員・山下が語る、「元祖油そば」の魔力
「めんちん、めんちん♪」
店内に鳴り響く、耳に残るオリジナル音源。目の前には、湯気を立てる一杯の油そば。酢とラー油を回しかけ、丼の底から一気に麺を持ち上げる——。
ここは、早稲田生の胃袋を支えてきた「ワセメシ」の名店、通称“麺珍”こと「東京麺珍亭本舗」です。
こんにちは。早稲田情報局2年の山下です。自他ともに認める食いしん坊の私が、今回ご紹介するのは、早稲田生なら一度は訪れておきたい“四大油そば”の一角。なぜ私は麺珍に惹かれ、何度も足を運んでしまうのか。お気に入りの一杯と、私なりの楽しみ方を交えながら、その魅力をお伝えします。
爆音と熱気に包まれた、忘れられない初訪問
私が麺珍の魅力に引き込まれたのは、初めて店を訪れた日のことでした。
公式Instagramによると、麺珍亭は1997年創業。「日本初の元祖油そば」を掲げる店です。そんな歴史ある一杯への期待を胸にカウンター席へ腰を下ろすと、まず耳に飛び込んできたのが、店内いっぱいに響くオリジナル音源でした。
「めんちん、めんちん♪」
一度聴けば、しばらく頭から離れない。思わず口ずさみたくなるような、独特の中毒性があります。しかも不思議なことに、そのリズムを聴いていると、運ばれてくる一杯への期待までどんどん高まっていくのです。
昼どきには店の前に行列ができ、時間をずらして訪れても、店内は多くのお客さんでにぎわっています。次々と丼が運ばれ、豪快に麺をかき混ぜる音があちこちから聞こえてくる。その光景を眺めていると、油そばが単なる食事ではなく、ひとつの文化として早稲田の街に根づいていることを実感します。
おいしい一杯を味わうだけではない。音楽も、店の熱気も、目の前で麺を混ぜる時間も含めて楽しむ。初めて訪れた私は、そんな麺珍ならではの体験に、すっかり心をつかまれてしまいました。

私の定番は、具材たっぷりの「スペシャル」
麺珍で私が決まって注文するのは、「スペシャル」です。
食べ応えのあるチャーシューに、とろりとした半熟卵。具材を眺めているだけでも気分が上がりますが、何より心が躍るのは、すべてを豪快に混ぜ合わせる瞬間です。
丼の底にあるたれを麺全体に絡ませるように、箸を大きく動かす。半熟卵が崩れ、黄身が麺を包み込んでいく。具材とたれがなじんだところを一気に頬張れば、濃厚な味わいが口いっぱいに広がります。
このまま最後まで食べても、もちろん十分においしい。けれど、私にとって油そばの楽しみは、そこで終わりません。
半分食べたら、ハバネロをひと振り
私がぜひ試してほしいのが、麺を半分ほど食べたところで加えるハバネロソースです。
「油そばにハバネロ?」と、意外に思う人もいるかもしれません。ところが、これが驚くほどよく合います。
まろやかな半熟卵と濃厚なたれに、ハバネロの鋭い辛さが加わることで、味の輪郭が一気にくっきりする。食べ始めの満足感はそのままに、後半はまったく違う表情の一杯として楽しめます。辛さの奥から、たれのうまみや麺の甘みが改めて感じられるのも面白いところです。
最初からたっぷりかけるのではなく、少しずつ加えながら、自分好みの辛さを探していく。それが私なりの“麺珍の楽しみ方”です。
定番の味を大切にしながら、ときには思い切って変化を加えてみる。予想していなかった組み合わせから、自分だけのおいしさを見つける。食べることが大好きな私にとって、味変は単なる調味料の追加ではなく、一杯を最後まで楽しみ尽くすための小さな冒険なのです。
食卓の上の“小さな実験”
振り返れば、私の食への好奇心は、子どものころから変わっていません。
出された料理をそのまま味わうだけでなく、「この調味料を加えたら、どんな味になるだろう」「季節が変わったら、次は何が食べられるだろう」と、食卓の上で小さな実験を重ねてきました。
もちろん、試した組み合わせがいつも正解だったわけではありません。それでも、実際に口にしてみなければ分からない発見がある。思いがけず相性のよい味に出会えたときの喜びが、また次の挑戦へと背中を押してくれました。
麺珍の期間限定メニューにも、そんな好奇心をくすぐられます。夏になれば、「冷やし油そば」を欠かさずチェックするのが私の恒例行事。いつもの店でありながら、訪れるたびに新しい楽しみが待っている。その変化も、私が麺珍に通い続ける理由のひとつです。
いつもの一杯に、ひとさじの冒険を
まだ麺珍で“給油”したことがない人は、まずは王道の一杯を、思いきり混ぜて味わってみてください。
すでに何度も通っている人も、次は少しだけ食べ方を変えてみてはいかがでしょうか。麺を半分ほど食べたところで、ハバネロソースをひと振り。食べ慣れたはずの油そばから、きっと新しいおいしさが立ち上がってきます。
店内に響く「めんちん、めんちん♪」の音楽。活気に満ちたカウンター。そして、自分の手で混ぜ、自分好みの味へと仕上げていく一杯。
麺珍には、ただ空腹を満たすだけではない、食べることそのものを楽しませてくれる力があります。
次はどんな味に出会えるだろう。そんな期待を胸に、私は今日も麺珍へ向かいます。もちろん、しっかりお腹を空かせて——。
