
1.
斎藤:本日はよろしくお願いいたします。今回は、早稲田大学の学生向けに、企業のリアルな実態や魅力を探るインタビューをお願いしております。まずは、山本さんの自己紹介と、これまでのキャリアについてお伺いできますでしょうか。
山本さん:よろしくお願いいたします。私は2005年に株式会社アイエスエフネットに入社しました。出身は大阪で、大学は名古屋に進学し、その後また大阪に戻ってきて当社に就職しました。早いもので、入社からもう21年目になります。
斎藤:21年目になるのですね。入社当初から現在のような採用や広報のお仕事をされていたのでしょうか。
山本さん:いえ、元々はITインフラエンジニアとして入社しました。大体8年ほどエンジニアを経験したのち、30歳くらいの時に大阪支店の支店長になりました。そこから西日本の責任者や東海エリアの責任者を経て、社内でのキャリアチェンジという形で採用活動を担当するよう命じられました。それまでの経験を評価していただいた形ですね。
斎藤:エンジニアから支店長、そして採用担当へと幅広くご経験されているのですね。現在はどのような業務を担当されていますか?
山本さん:現在は、人事、採用、広報、マーケティングと、少しずつ活動領域を広げながらそれらを統括しています。
斎藤:ありがとうございます。お仕事以外で、休日にされていることやご趣味についてもお伺いしてよろしいでしょうか。
山本さん:趣味はいくつかあるのですが、映画鑑賞、読書、ビリヤード、麻雀、ポーカーといったところですね。一番の趣味はビリヤードでしょうか。ちなみに大学時代は、ひたすら麻雀ばかりしていました。
斎藤:大学時代のエピソードまでありがとうございます。それでは、会社の事業内容について詳しくお伺いしていきたいと思います。

2.
斎藤:株式会社アイエスエフネットがどのような会社なのか、設立の経緯や主な事業内容について教えていただけますか。
山本さん:当社の設立は2000年です。ですので、現在26期目を迎えています。事業の大きな特徴は、「ITインフラを専業にしている」という点です。IT業界の中でも、アプリ開発系やエンターテイメント系ではなく、インフラ系に特化しています。
斎藤:「ITインフラ」というと、学生にとっては少しイメージが湧きづらい部分もあるのですが、具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか。
山本さん:おっしゃる通り、エンジニアというとコードを書いてプログラミングをして、アプリを開発するようなイメージが強いかもしれません。しかし、当社のインフラ専業のエンジニアはプログラミングはしません。ネットワークやサーバー、そしてそれらに必要なセキュリティを専門に扱っています。ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアがいる会社と思っていただければわかりやすいかと思います。最近ではサーバーもクラウド上で動いていることが多いですね。
斎藤:クライアントは企業になるのでしょうか。
山本さん:はい、個人向けではなく企業向けに事業を展開しています。
斎藤:企業向けのサーバー管理というと、データセンターで作業を行うようなイメージでしょうか。
山本さん:データセンターでの作業もありますが、限定的です。サーバー自体を設定したり、正しく動き続けるようにメンテナンスを行ったりという論理的な作業は遠隔で行うことが増えました。
斎藤:なるほど。私たちが普段利用している環境に当てはめると、どのようなイメージになりますか?
山本さん:例えば、大学のコンピュータルームを想像してみてください。どのパソコンを使っても、ログインすれば自分の環境が出てきますよね。あれは裏で、認証サーバーやファイルサーバー、メールサーバー、Webのプロキシサーバーなど、様々なサーバーが動いているからです。
斎藤:確かに、当たり前のように使っていますが、裏側には様々な仕組みがあるのですね。
山本さん:そうなんです。我々ITインフラエンジニアは、それらのサーバーをどのソフトを使って構築するかを選定し、導入して設定します。さらに、パソコンを設置してネットワークに繋ぐところまでを行います。もし障害が起きたら、大学の情報担当の方に問い合わせが行くと思いますが、その情報担当の方から問い合わせを受けるのが我々なのです。そこで障害原因を特定し、時には現地に赴いて対応する。これが一番身近なITインフラエンジニアの仕事のイメージだと思います。
斎藤:非常にわかりやすいです。他にも具体的な業務の例はありますか。
山本さん:例えば、オフィスビルに入っている企業が移転する場合を考えてみてください。ビルの中には様々なネットワーク機器があります。外から光回線が来ていて、入り口にはセキュリティを守る機器があり、中央でネットワークをコントロールする装置があります。さらにその下には、部署ごとにネットワークを分配する装置や、無線ネットワークを繋ぐ装置があります。
斎藤:それを移転させるとなると、大掛かりな作業になりそうですね。
山本さん:はい。移転する際に、いかにネットワークを切断することなく移設するかが重要になります。さらに、それぞれの機器をアップデートする必要もありますし、パソコンと同じで5年も経てば古くなってサポートが終了してしまうため、定期的に新しい機器に置き換えなければなりません。サイバー攻撃もどんどん巧妙になっているので、それに対応する最新の製品を入れる必要もあります。
斎藤:製品を一から作るわけではないのですね。
山本さん:ええ。我々は製品やソフトを自ら開発するわけではありません。「どのソフトや製品を選定するか」「どのようなスケジュールで導入するか」を考え、実際に設定を行うのが主な役割です。
斎藤:社員の方の多くが、そうしたエンジニア職に就かれているのでしょうか。
山本さん:はい。社員の8割5分がエンジニアです。新卒採用で見ても、国内で25名、海外を含めると30名ほど採用していますが、そのうち営業職が2名で、それ以外はすべてエンジニアとして入社しています。
斎藤:エンジニアの方の出身学部の割合などはどのような傾向がありますか?
山本さん:実は、7割が文系出身なんです。ゼロから未経験で入社される方が非常に多いです。理系出身であっても、情報系でなければスタート地点は文系の方とそれほど変わりません。
3.
斎藤:次に、アイエスエフネットならではの強みについてお伺いします。学生が企業を選ぶ際、御社を選ぶ理由や魅力はどのようなところにあるのでしょうか。
山本さん:当社の大きな方針として、「人財育成会社である」ということが挙げられます。これは結構すごいことで、単に「お客様にシステムを提供します」「利益を追求します」というだけでなく、「人財を育成します」と明言しているのです。学生の方は自身の成長性を就活の軸にされることが多いと思いますが、当社のこの方針はそこに非常に合致すると思います。
斎藤:「人財育成会社」という方針は、具体的にどのような仕組みとリンクしているのでしょうか。
山本さん:例えば、エンジニアがひとつのプロジェクトに入り、2年や3年経って「これ以上この環境では成長しないな」と判断された場合、我々はあえて次のプロジェクトへと移していく仕組みを持っています。これって実はすごくしんどいことでもあるのですが、会社がこの方向で動いているため、「エンジニアを成長させるぞ」という気持ちはどこの企業よりも強いと自負しています。
斎藤:本人が成長し続けるための環境を、会社が意図的に用意しているのですね。
山本さん:そうです。ただ、この会社に入ればレールに乗って自動的に成長できるような、いわゆる「ぬるま湯」の環境ではありません。あくまで、本人が頑張れるのであれば、会社の後押しや追い風が一番強く吹く会社でありたいと思っています。
斎藤:IT業界を目指す学生の中には、昨今のAIの台頭によってエンジニアの将来に不安を感じている人も多いと思います。AI時代のITインフラエンジニアの需要について、山本さんはどのようにお考えですか。
山本さん:この2、3年の傾向で見ると、ITインフラエンジニアの需要はむしろ伸びていっています。その理由は、ITインフラエンジニアの仕事には「対人」業務や「物理的」な業務が多いからです。

斎藤:開発エンジニアとは状況が違うということでしょうか。
山本さん:はい。例えばプログラムを書くという開発の分野では、AIのサポートによって少ない人数で作業が進むようになっています。昔は井戸を掘って水を得ていましたが、今は水道の蛇口をひねれば水が出ますよね。AIを使ってコードを生成するのは、この「蛇口をひねる」ことに似ています。
斎藤:便利になる反面、人員が削られてしまうということですね。
山本さん:ええ。しかし、トラブルが起きた時には、井戸の仕組みやダムの仕組みといった基礎を知らないと正しく対処できません。「何が起こっているか」「どうすればいいか」をAIに聞くことはできても、その対処法が正しいかどうかを判断するには基礎知識が必要です。結果的に、少ない人数で対応できるため人数が削られてしまうのが、開発の現場の現状です。
斎藤:ITインフラエンジニアの場合はどうなのでしょうか。
山本さん:インフラには「インフラ」という名前の通り、物理的な物体が存在します。ネットワークには物理的な線がありますから、これを運用するのは必ず人間なんです。トラブルが起きた時には現地に行かなければなりません。
斎藤:ロボットにすべて置き換わらない限り、人の手が必要なのですね。
山本さん:さらに、対お客様の仕事であるという点も大きいです。例えば、早稲田大学さんが「次世代のネットワークシステムをこういう方針で構築したい」と考えた時、「こういう機器を組み合わせて、こういう提案をしたらどうでしょう」と考えるのは人なんです。
斎藤:提案や責任の部分で、AIではなく人が求められるということですね。
山本さん:その通りです。大学の責任者の方が、A社の提案、B社の提案、そしてC社のAIが出した提案を比べた時、「AIの提案に責任を持てるか」と言われると難しいですよね。結局、人の提案に対応するわけです。このように、人の手が残る部分がITインフラには非常に多く、今のところ需要は減っていません。
斎藤:むしろ需要は増しているのでしょうか。
山本さん:はい、重要性は増しています。より太い回線が必要とされ、ネットワークが途切れたら何もできないという状況が社会全体で加速しています。AIが入って業界がどうなるかは未知数な部分もありますが、ここ数年の傾向としてはかなり必要とされている業界だと言えます。
4.
斎藤:人間関係についても独自の仕組みがあるとお聞きしました。社内の雰囲気作りについて、どのような工夫をされているのでしょうか。
山本さん:当社では、「人間関係を重視する」ということを明文化し、言語化して仕組みにまで落とし込んでいます。これは結構珍しいことだと思います。
斎藤:人間関係を仕組みに落とし込むとは、具体的にどのようなことですか。
山本さん:私たちが「どういう人と一緒に働きたいか」を言語化して、2つの方向性を示しています。1つは「こういうのはやめてくれ」という禁止事項、もう1つは「こういう風に振る舞ってくれ」という推奨事項です。
斎藤:なぜそのような規定を設けているのでしょうか。
山本さん:ITインフラエンジニアには、「お客様のために頑張る」「お客様のことを考える」、そして「スキルアップをする」という3点に脳のリソースを使ってほしいからです。人間関係に悩まされてほしくないんですよ。その目的を達成するために、「こういうルールを守れますよね」「この考え方に共感いただけますよね」という人と一緒に働きたいと思っています。
斎藤:入社前に学生にもその考え方を伝えているのですか。
山本さん:はい。面接はお互いのマッチングの場ですから、入社時に当社の考え方(※ISF NET Standard Concept)を十分に説明します。学生の皆さんも数ある企業の中から選ぶわけですから、まずこの考え方を良いと思ってもらった上で入社していただきます。入社後も、そうした基準が管理職になれるかどうかの判断材料になったりします。

斎藤:「こういうのはやめてくれ」というのは、具体的にどのような内容なのでしょうか。
山本さん:すごく単純なことで、「みんなが良くないと思うことはやめましょう」ということです。ただ、「みんな」とは誰なのかと考えた時、多様な性別、国籍、年齢の方が共通して「嫌だな」と思うことはダメだよね、という考え方です。
斎藤:時代によっても変わっていきそうですね。
山本さん:おっしゃる通りです。若い時は「そんなの当たり前だ」と思うかもしれませんが、先輩や役職者になり、30代、40代と年齢を重ねると、考え方をアップデートできずに頑固になってしまうことがあります。だからこそ、当社では「指摘を受けたら柔軟に受け止めて直してくださいね」「自分をアップデートしてくださいね」ということを第一に掲げています。
斎藤:仕事の進め方で意見がぶつかることはあっても、人間関係の根本的な部分での摩擦を減らすということですね。
山本さん:ええ。「みんなの前で叱らない」というのは今でこそ当たり前ですが、昔はそうではありませんでした。指摘されたらムッとしたり頑固になったりするのではなく、素直に直す。将来自分が先輩や役職に就いた時にも、指摘されるかもしれないという心構えを持っておいてほしいんです。これがマイナスをゼロにする考え方です。
斎藤:「こういう風に振る舞ってくれ」という推奨事項についてはどうでしょうか。
山本さん:例えば、「他人事ではなく、自分事として捉えるのがよい」といったことを行動規範として設けております。会社の中で「あの人はおかしいけれど、数字を出しているから許されているのかな」といった不公平感や人間関係の悩みがないようにしています。
斎藤:人の嫌がることをせず、他人を認めて尊重する。当たり前のようですが、組織で徹底するのは意外と難しそうです。
山本さん:意外と難しいと思います。ですが、当社ではそうした悩みを相談できる窓口があり、みんながそれについてちゃんと考えて、受け止めて、判断してくれる環境を整えています。スキルアップや技術向上という本来の目的に注力できるベース作りとして、この考え方を大切にしています。
5.
斎藤:入社後のキャリアパスについてお伺いします。エンジニアとして経験を積んだ後、どのようなキャリアを描く方が多いのでしょうか。
山本さん:人数比で言うと、エンジニアを続ける方が圧倒的に多いです。私のように別の職種へキャリアチェンジするケースとしては、会社から声がかかる場合と、社内で公募が出る場合があります。例えば最近でも、「英語が使える人限定」で外国籍の採用担当の社内公募が出ていたりします。ですが大抵は、ずっとエンジニアとしてキャリアを深めていく方が多いですね。
斎藤:ITエンジニアを続ける上での、評価や待遇面の特徴はありますか。
山本さん:ITインフラエンジニアという職業は、比較的「自身の努力やスキルアップと年収が比例しやすい」という特徴があります。ずっと同じことしかできなければ評価は上がりませんが、できることが増えれば増えるほど、スキルに合わせて大きく給料が伸びていく業界です。その辺りが大きな魅力だと思います。
斎藤:会社全体として、エンジニアのキャリアや待遇に関して目指しているビジョンはありますか。
山本さん:会社全体としては、「ITインフラエンジニアを日本一育成できる会社でありたい」という目標を掲げています。「日本一育成できる」とはどういうことかを細分化し、数値目標化して一つひとつ達成しようとしています。例えば、プロジェクトの上流案件の数を増やすことや、育成の仕組みを充実させることなどですね。
斎藤:待遇面についてはいかがでしょうか。
山本さん:待遇の向上も重要な目標です。ITインフラエンジニアの待遇を、5年間で1.5倍にし、さらに向こう5年間でまた1.5倍にする、つまり掛け合わせで2.25倍にするという目標を掲げています。そのために海外比率を高めるなどの戦略も進めています。育成と待遇がしっかりとセットになっている状態を目指しています。
6.
斎藤:ここまでのお話を踏まえて、アイエスエフネットではどのような学生を求めているのでしょうか。
山本さん:多くを求めるわけではありませんが、絶対条件が一つあります。それは「成長意欲」です。先ほど申し上げた通り、この業界は成長と待遇が比例します。しかし同時に、ITインフラエンジニアの世界は「下りのエスカレーターに乗っている」とよく例えられます。
斎藤:下りのエスカレーター、ですか。
山本さん:はい。少し頑張って歩いているくらいでは足踏み状態で、上には上がれません。この下りのエスカレーターの速度よりも速いスピードで成長しなければ、キャリアアップしていかない厳しい業界でもあります。だからこそ、強い成長意欲が必要なんです。成長意欲さえあれば、情報系学部の出身であるという初期のアドバンテージを大きく超えることができます。
斎藤:成長意欲の他に、適性として求めるものはありますか。
山本さん:もう一つは、「利他性」ですね。面接の志望動機で「縁の下の力持ちになりたい」と言ってくれる学生さんが多いのですが、私はそれを建前だとは思っていません。誰しもベースには、「自分が良い技術を提供して感謝されると嬉しい」という原体験があると思うんです。
斎藤:人のために頑張れるか、ということですね。
山本さん:ええ。サービスデスクやヘルプデスクでいち早く障害対応をして感謝される。そんな時に、自分のことよりも人のことのために頭をフル回転させて頑張れる人、目的意識を持ってお客様のために考え抜ける人というのは、当社のエンジニアにとても合っていると思います。成長意欲と並んで、この利他性は大切な要素です。
7.
斎藤:最後に、就職活動に取り組む早稲田大学の学生、あるいは学生全体に向けてメッセージをお願いできますでしょうか。
山本さん:最近の就職活動の傾向を見ていると、AIの台頭などもあって、時代の変化についていく自信を持てず、ある程度基盤が固まっている大手企業への志向が強まっていると感じます。自己肯定感や自己効力感といった自信が伴わないと、成長を求められる環境に対して二の足を踏んでしまうのかもしれません。
斎藤:確かに、不確実な時代だからこそ安定を求めてしまう学生は多いと思います。
山本さん:ですが、当社は「挑戦できる環境を用意しているから、自力で食らいついてこい」というタイプの会社ではありません。ボルダリングで例えるなら、「壁は作ったから勝手に登ってこい」ではなく、「後ろからしっかり風を吹かせるから、前を向いてさえくれればいいよ」というスタンスです。
斎藤:成長意欲という「火種」さえあれば、会社がサポートしてくれるのですね。
山本さん:その通りです。頑張ったら報われる評価制度があり、人間関係にリソースを割かなくて済む仕組みがあり、伴走してくれる教育部やエンジニアのフォロー担当がいます。漠然とでも「成長したい」という意欲さえ持ってきてくれれば、着火するためのツールや環境はこちらで用意します。
斎藤:本日は、ITインフラエンジニアという仕事のリアルから、御社の魅力、そして就活生への温かいメッセージまで、非常に具体的で貴重なお話を伺うことができました。本当にありがとうございました。
山本さん:こちらこそ、丁寧に聞いていただきありがとうございました。
