「早稲田だし、なんとかなる」は幻想だった
大学3年の春。なんとなく周囲がソワソワしはじめて、サマーインターンの話題が耳に入るようになった頃、正直まだ「就活=先の話」だと思っていた。「早稲田だし」「TOEICそこそこあるし」「サークルもバイトもやってるし」。言語化こそしなかったけど、“自分は大丈夫”という根拠のない安心感に包まれていた。
結果、ES10社提出で全滅。返ってくるのは“ご縁がなかった”メールばかり。焦りがじわじわと浸透していった。
就活が、静かに“自己肯定感”を削ってくる
SNSには「内定出ました!」という投稿が並び、SPI満点アピール、ES通過報告。周囲の“順調な人たち”の声に、じわじわと心が削られていく。
「なんで俺だけ?」
「早稲田なのに」
「ダメな理由がわからない」
そう思ってしまうのは、自分のせいというより、就活が“自分を比較する構造”でできているからだ。
“肩書きで勝負できる”と思っていた自分がいた
ゼミ代表、学内有名サークルの副代表、バイトリーダー。そうした実績は、一見“強いエピソード”に見える。でも面接で求められるのは、実績の中身ではなく、その背景にある“自分だけの物語”だった。
「あなたらしさってどこにあるの?」
その質問に答えられなかったとき、初めて気づく。“すごそうな話”は、就活では通用しないことがあるということに。
テンプレ自己PRで落ちるのには理由がある
「課題発見→チームで協働→成果」
この黄金パターンに当てはめるだけでは、“誰でも語れる話”になってしまう。面接官に「それ、あなたじゃなくてもよくないですか?」と言われた瞬間、言葉が詰まる。
就活は、“何をしたか”ではなく、“それをどう捉えたか”がすべてだった。
深掘りすればするほど“空っぽ”を見つけるフェーズ
自己分析が進めば進むほど、自分の輪郭がぼやけていくような感覚になる人は多い。「頑張ってきたはずなのに、“語れる話”が見つからない」。その焦りが、夜中のES執筆でさらに増幅される。
「私って、何をしてきたんだろう」
「強みって、あるのかな」
気づけば、“自己分析”が“自己否定”にすり替わっていた。
SPI、ES、面接のフルコンボで壊れていく日々
2月を越えたあたりから、スケジュールが完全にカオスになる。
朝の説明会に始まり、SPIの時間制限に追われ、夜はES締切。面接対策は後回し。自己肯定感が下がるにつれ、“就活=やめたいけどやめられない沼”になっていく。
「この生活、あと何週間続くんだろう」
そんなことを思いながら、ベッドに倒れ込む日が続く。
自分らしさって、どうやって作るんだっけ?
「もっと明るくした方がいいよ」「もう少し熱意を出して」
面接のフィードバックは抽象的で、どこを直せばいいか分からない。
「自分のままじゃダメなのかな」と思い始めたときに出会ったのが、“素で内定をもらった人”だった。
その人は言っていた。
「嘘はついてないけど、“等身大の自分”をどう見せるかは考えた。強調の仕方とか、順番とか。それだけでもだいぶ変わったよ」
“すごくない話”でも、ちゃんと伝わる
ある人は、コンビニバイトでの外国人スタッフとのコミュニケーションを語った。別の人は、趣味の読書を通して得た考え方を話した。華やかなエピソードではない。でも、“自分でしか語れない話”として成立していた。
就活で一番大事なのは、誰かの物語を真似することじゃない。“自分の言葉”を持つことだった。
第一志望じゃなくても、未来は始まる
多くの早稲田生が、途中で志望業界を変えている。理想を描いていた商社から中小メーカーへ、安定を求めたはずがベンチャーへ、逆のパターンもある。
大事なのは、「内定をもらえたか」より、「自分が選べたかどうか」。
「選ばれる就活」から「選ぶ就活」への転換が、最終的な納得を生んでいた。
「内定が出ても不安」は、正常なことだった
就活が終わった瞬間、意外と静かだった。
「やっと終わった」という安堵と、「これで本当にいいのかな」という不安が同居する。むしろ、内定が出てからの方が、改めて“働くこと”に向き合い直す時間だった。
「ここに行っていいのか」
「別の道もあったんじゃないか」
その迷いに答えが出ないままでも、「納得」は少しずつ積み上がっていく。
就活で得たものは、“勝利”じゃなく“言葉”だった
落ちた数、悩んだ夜、自分と向き合った時間。それらは、就活という“通過点”を超えて、生きていく中で支えになる力になる。
- 自分の言葉で、自分の人生を語れるようになった
- 誰かに頼ってもいいと知った
- “働く”ということを、初めて考えた
この経験があるからこそ、どんな道を選んでも、“ちゃんと向き合ってきた”と言える。
「就活、しんどかったけどやりきった」って、胸を張っていい
他人の成功が輝いて見える夜もある。
ESが通らない自分に自信が持てない日もある。
面接で泣きたくなったことがある人もいる。
でも、そこにいた“頑張った自分”だけは、誰とも比べなくていい。
就活は、“納得して終える”ためのプロセス。
そのために、自分の言葉を探して、誰かに聞いてもらって、時には躓いて。
それを乗り越えたあなたは、もう充分強い。
#就活しんどかった早稲田生
そんなタグで、誰かと自分の経験をつなげてみてほしい。
「あなたの頑張り、ちゃんと伝わってたよ」って、言ってくれる人がきっといるから。