「英語資格、何か持ってる?」は突然やってくる
大学生活を送っていると、ある日いきなり聞かれることがある。
「英語資格、何か持ってる?」
履歴書、留学申請、大学院出願、奨学金、クラス分け。英語資格は、思っているよりいろいろな場面で顔を出してくる。しかも厄介なのは、こちらが完全に油断しているタイミングで「スコア提出が必要です」と静かに現れるところだ。締切の2週間前に気づいたときの焦りは、経験したことがある人も多くいるのではないだろうか。
ただし、英語資格は「有名だから受ける」ものではない。大事なのは、どこで使うために受けるのか。TOEFL、TOEIC、IELTS、Duolingo English Test、英検。名前は聞いたことがあっても、「結局どれが何用なの?」となる人は多いはずだ。英語資格界、アルファベットが多すぎる。初めて見た人には、何がなんのテストなのかわからないことだろう。
英語資格は「何に使うか」で選ぶのが正解
英語資格選びで迷ったら、まず考えたいのは「そのスコアを何に使うのか」だ。
海外大学や海外大学院への出願を考えているなら、候補に入りやすいのはTOEFL iBTやIELTS。交換留学や一部の留学出願では、TOEFL iBTやIELTSに加えて、Duolingo English Testが使える場合もある。
就職活動や企業での英語力評価を意識するなら、まず名前が挙がりやすいのはTOEIC L&Rだ。必要に応じて、話す・書く力を測るTOEIC S&Wを検討することもある。学内のクラス分けや英語力把握ではTOEFL ITPが使われることが多く、国内入試や奨学金、履歴書では英検が強い場面もある。
つまり、英語資格はどれも「英語力を測る試験」ではあるが、見ている力も、使われる場所も、受験形式もかなり違う。それぞれの特色や目的を把握し、自分自身に合った英語テストを受ける必要がある。

(近年、英語資格は多種多様になってきた。)
TOEFL iBTは海外進学を考える人の本命ルート
TOEFL iBTは、海外大学や海外大学院への出願を考えている人にとって重要度の高い試験だ。特にアメリカ方面への進学を考えるなら、避けて通るのはなかなか難しい。
測るのは、読む・聞く・話す・書くの4技能。大学の講義を聞く、英語の文章を読む、自分の考えを話す、文章で説明する。かなりアカデミック寄りの内容で、「英語で大学生活をやっていけるか」を真面目に見てくる試験だ。
受験は会場または自宅オンラインで行われ、試験時間は約2時間。満点は120点で、出願では80点前後が一つの目安として扱われることもある。ただし、必要スコアは大学や学部、プログラムによって違うため、出願先の条件確認は必須だ。
受験料は通常申込で195USドル。為替によって日本円換算額は変わるが、学生にとってはなかなかの出費である。軽い気持ちで申し込むと、あとからもっと勉強しておけばよかったとなる場合もあるので、注意しよう。直前登録では追加手数料がかかるため、受ける予定があるなら早めに日程を押さえておきたい。
TOEFL iBTが向いているのは、海外大学や海外大学院への出願を考えている人。また、日本国内の一部大学や外資系企業、特定職種で英語力を証明したい場合にも役立つことがある。ただし、「有名だから大丈夫でしょ」は危険。提出先がTOEFL iBTを受け付けているかどうかは、必ず確認しておこう。
IELTS Academicは面接で話す国際派の4技能試験
IELTS Academicも、留学や海外大学院出願でよく使われる英語試験だ。特に英国、豪州、カナダなどへの留学や移住を考える人にとって、重要になる場面がある。
TOEFL iBTと同じく、読む・聞く・書く・話すの4技能を測る。ただし、大きな特徴はスピーキングが面接形式で行われることだ。画面に向かって話すより、人と会話するほうがやりやすい人には合っているかもしれない。逆に、面接というだけで心拍数がサークル新歓の自己紹介レベルまで上がる人は、事前に形式を知っておくだけでも安心だ。
IELTS Academicは、紙またはコンピュータで受験できる。試験時間は約170分で、待ち時間を含めると4時間程度になることもある。ちょっとした長期戦である。「午前に受けて、午後はカフェで優雅に復習」みたいな予定を立てると、終わった頃には脳内がリスニング音声でいっぱいになっている可能性がある。
受験料は27,500円と案内されているが、料金や実施条件は変更される可能性がある。席が埋まりやすく、ペーパーテストは日程が限られることもあるため、受験を考えている人は早めに確認したい。
TOEFL iBTとIELTSは、どちらも留学や海外進学と結びつきやすい試験だ。ただし、TOEFL iBTはアメリカ英語寄り、IELTSはイギリス英語の試験として位置づけられることが多い。スピーキングの形式も違うため、自分が受けやすい形式と、提出先が指定する条件の両方を見て選ぶのが現実的だ。
Duolingo English Testは自宅受験できるスピード型
近年、留学出願の選択肢として存在感を増しているのがDuolingo English Testだ。完全オンラインで受験でき、結果が出るのも早い。忙しい大学生にとっては、かなりありがたい存在である。
読む・聞く・話す・書くの4技能を測る試験で、AIが受験者のレベルに合わせて問題を出す適応型の形式になっている。自宅から約1時間で受験でき、24時間いつでも受けられる点も大きな特徴だ。結果は48時間以内に出るとされており、スピード感はかなり強い。
価格は70USドル。為替によって日本円換算額は変わるが、TOEFL iBTやIELTSと比べると、時間と費用の負担は小さめだ。財布にもスケジュールにも比較的やさしい。大学生にやさしい制度は、それだけで一度拍手してよい。
ただし、Duolingo English Testは万能ではない。留学出願に使える大学は増えている一方で、すべての大学や大学院が受け付けているわけではない。就職活動での評価も、TOEICほど一般的とは言いにくい。
オンラインで短時間に、比較的低価格でスコアを取りたい人には向いている。ただし、受ける前に必ず提出先の条件を確認したい。海外留学にスコアとして使えるという実践的な部分はIELTSやTOEFLと比べて少ないのが現状だ。
TOEICは就活英語の定番カード
就職活動で英語力を示したいなら、まず名前が挙がりやすいのがTOEICだ。企業での認知度が高く、履歴書やエントリーシートに書く英語資格としてイメージしやすい。
ただし、一口にTOEICと言っても、実は種類がある。一般的に「TOEIC」と呼ばれることが多いのは、TOEIC L&Rテストだ。これは聞く力と読む力を測る試験で、試験時間は2時間。企業や職種によっては、600点や900点などが目安として語られることもある。
一方、TOEIC S&Wは、話す力と書く力を測る試験だ。試験時間は80分で、L&Rとは別の試験として扱われる。つまり、「TOEICを受けました」と言っても、L&RなのかS&Wなのかで見ている英語力は違う。
TOEIC L&Rは会場で受験し、受験料は7,810円(最新情報は公式HPよりご確認ください。)、紙の公式認定証を希望しない場合は7,700円とされている。TOEIC S&Wは、個別ブースに設置されたパソコンで受験し、受験料は10,450円と案内されている。いずれも料金や申込条件は変わる可能性があるため、公式情報での確認が必要だ。
就活で使いたい場合は、スコアが必要になる時期から逆算して申し込むのが大事。エントリー直前に慌てて受験しようとしても、日程や結果公開のタイミングが合わないことがある。就活カレンダーは、思っているより容赦がない。
TOEFL ITPは学内評価で使われやすい裏方タイプ
TOEFL ITPは、学校や団体のクラス分け、校内評価などで使われることが多い試験だ。個人で海外大学に提出するための試験というより、大学や団体の中で英語力を把握するためのものと考えると分かりやすい。
名前にTOEFLと入っているため、TOEFL iBTと混同しやすい。しかし、用途はかなり違う。
TOEFL ITPで測るのは、読む・聞く・文法。スピーキングやライティングは含まれない。基本的には団体実施で、受験者の英語力に合わせてレベルが分かれている。Lv.1は115分、Lv.2は70分とされている。
学内でまとめて受けやすい点は強みだが、留学出願では使えないことが多い。受験料も実施団体や大学によって異なるため、所属先の案内を確認する必要がある。
TOEFL ITPが向いているのは、学内評価やクラス分けで受験する人。海外大学や大学院への出願を考えている場合は、TOEFL iBTやIELTSなど、提出先が指定する試験を確認しておきたい。
英検は国内で使いやすい段階制資格
英検は、日本国内での認知度が高い英語資格だ。国内入試、奨学金、履歴書などで使いやすく、2級以上から就職での活用を考える人もいる。
級ごとに段階的に挑戦できるため、自分のレベルに合わせて受けやすいのも特徴だ。英検は、読む・聞く・話す・書くの4技能を測る。ただし、級によって内容や難易度には差がある。従来型では、筆記とリスニングを受けたあと、後日二次面接が行われる。CBT版では、4技能を1日でコンピューター受験する形式もある。
2026年度の従来型・本会場では、1級が12,400円、準1級が10,400円、2級が9,000円などと案内されている。ただし、料金は級、受験方式、会場区分によって異なる。申し込みも各回で締切が決められているため、受験予定がある場合は早めに確認したい。
英検は国内では強い一方で、海外留学での採用は限定的とされることがある。国内入試や奨学金、履歴書で使いたい人には頼りになるが、海外大学への出願を考えている場合は、出願先が英検を受け付けているか確認しておこう。
初めて選ぶなら、まず提出先の条件を見る
英語資格を初めて選ぶときは、「どれが一番すごいか」よりも「どれが自分の目的に合っているか」を見るのが大事だ。
海外大学や海外大学院を目指すなら、TOEFL iBTやIELTSが候補になりやすい。オンライン受験で留学出願に使える可能性を探すなら、Duolingo English Testも選択肢に入る。就職活動や企業評価を意識するならTOEIC、学内評価や団体受験ならTOEFL ITP、国内入試や奨学金、履歴書で活用したいなら英検が検討しやすい。
同じ「英語資格」でも、それぞれ向いている場面は違う。読む・聞くを中心に測るものもあれば、話す・書くまで含めた4技能型のものもある。会場で受けるもの、自宅で受けられるもの、面接があるもの、コンピューターで完結するもの。英語テストにも、ちゃんと性格がある。
まずは提出先の募集要項や公式案内を確認する。次に、必要なスコア、受験できる日程、結果が出るまでの期間、受験料を見ていく。この順番で考えるだけでも、「なんとなく有名だから受ける」という失敗はかなり避けやすい。
英語資格は、取ることより「使えること」が大事
大学生活の中で、英語力の証明が必要になるタイミングは突然やってくる。留学、就活、進学、奨学金、履歴書。必要になってから慌てるより、早めに「自分にはどの試験が必要か」を見ておいたほうが安心だ。
英語資格は、取ること自体がゴールではない。どこで使えるのかまで考えて選ぶものだ。
「とりあえず有名な試験を受ける」より、「自分の目的に合う試験を選ぶ」。それだけで、時間もお金もかなり守れる。学生生活には、ほかにもお金を使いたい場面が多い。試験選びで無駄撃ちしないこと、ここはけっこう大事である。
受験料、締切、採用可否、受験方式、結果公開の時期などは変更される可能性があります。受験前には、各試験の公式サイトや提出先の最新案内を必ず確認してください。
