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スーツは自己表現。哲学と外交をつなぐ、チャーリー・ジェフスの歩き方

Posted on 2026年6月9日2026年6月12日 by 情報局 メンバー

毎日スーツで大学に通う学生がいる。早稲田大学国際教養学部2年、チャーリー・ジェフスさん。落ち着いた雰囲気から、教授に間違えられることもあるという。

けれど本人は、威圧的に見せたいわけではないと話す。彼にとって服装は、自分を表現するものだ。サフォークの自然の中で育ち、哲学に出会い、日本へ渡り、外交の道を見据える。チャーリーさんの歩みには、「考えること」と「人を理解すること」をつなげようとする一貫した姿勢がある。

(現在国際教養学部2年のチャーリーさん)

スーツは「自分を表現するもの」

チャーリー・ジェフスさんは、早稲田大学国際教養学部2年。2024年秋に入学した、イギリス出身の学生だ。

彼を語るうえで、まず印象に残るのが服装である。毎日スーツで大学に通う。周囲からは落ち着いた雰囲気に見られ、教授に間違えられることも多いという。

ただ、それは自分を大きく見せるためではない。

「威圧的に見せたいわけじゃない。」

資料の中で、彼はそう話している。彼にとって服装は、単なる身だしなみではなく「自分を表現するもの」だ。美術家にスモックがあるように、服にもその人らしさが表れる。スーツは、彼にとっていちばん自然で、落ち着ける装いなのだろう。

「でも結局、一番落ち着くのはスーツなんです。」

少し笑いながらそう続ける姿に、チャーリーさんらしさが見える。形式を好んでいるようでいて、根底にあるのは堅苦しさではない。自分にとって心地よいあり方を、自分の言葉で選び取っている。

サフォークの自然が育てた「考えること」への関心

チャーリーさんは、イギリス・サフォーク州の小さな村で10歳まで育った。

資料に並ぶのは、海、草原、静かな田園風景という言葉だ。自然に囲まれた環境の中で、彼はロマン派詩や「考えること」に惹かれていった。

この原点は、現在の彼の姿と深くつながっている。哲学や外交という言葉だけを見ると、難しく、遠い世界のように感じるかもしれない。しかしチャーリーさんにとって、それは突然現れた関心ではない。幼いころから、自然や詩に触れながら、ものごとを深く見つめる時間があった。

その後、奨学金を得てA-Levelへ進学。そこで哲学と出会った。

彼が惹かれたのは、ひとつの科目を学ぶことだけではない。学問を横断して考える力、幅広い視点。そして、「それぞれの分野がどう繋がっているのか」を考える面白さだった。

哲学は、答えを暗記する学問ではない。問いを立て、考えを組み立て、異なる分野を行き来しながら世界を理解しようとする営みだ。チャーリーさんが哲学にのめり込んでいった背景には、この「つながり」を見ようとする姿勢がある。

(祖父に影響を向けてチャーリーさんは日本に来た。)

日本へ向かわせた、祖父の記憶

大学受験では、イギリスやアジア各国の大学に出願した。その中で、最終的に選んだのが早稲田大学だった。

日本との接点には、家族の記憶がある。資料によれば、チャーリーさんの祖父は1970〜80年代に日本で働いており、英語教師やモデルとして活動していたという。

幼いころから日本について話を聞いて育つ中で、彼の中にはひとつの問いが生まれていった。

「祖父にとって、日本で暮らすことはどんな経験だったんだろう。」

その問いが、日本へ来るきっかけになった。

ここにも、彼らしい進路選択のあり方が表れている。単に「海外の大学に行きたい」「日本に興味がある」というだけではない。自分の家族の過去、異文化で暮らした人の経験、その背景にある感情や意味を考えようとしている。

日本は、彼にとって遠い国であると同時に、祖父の記憶を通じてつながっていた場所でもあった。早稲田大学を選んだことは、その問いを自分の人生で確かめに行く選択だったのかもしれない。

哲学と外交をつなぐもの

チャーリーさんの夢は外交官。そして、哲学を書く人でもある。

一見すると、哲学と外交は別々の領域に見える。哲学は内面に向かう思考であり、外交は国や人々の間に立つ実践の場だ。しかし彼にとって、この二つは近い存在だという。

彼が外交に惹かれる理由として挙げているのは、交流、コミュニケーション、他者理解である。

「大切なのは、人を理解して、自分の考えを伝える力。」

この言葉には、彼の価値観がよく表れている。外交に必要なのは、語学力や知識だけではない。相手の背景を理解し、自分の考えを整理し、誠実に伝える力が求められる。

哲学を通じて「考える力」を学び、外交を通じて「人と向き合う力」を磨く。チャーリーさんは、その二つを別々の道ではなく、互いにつながるものとして捉えている。

現在、彼は自身の哲学書を執筆中だという。テーマは、自分自身の価値観、世界観、「良く生きる」ための考え方。さらに、社会評論、歴史観、思想史、文明を超えた人類の思考にも関心を持っている。

「考え方のフレームワークは、人の人生を豊かにできる。」

この言葉は、彼が哲学を単なる知識としてではなく、生き方に関わるものとして捉えていることを示している。

弱さを乗り越える、身体と精神のトレーニング

チャーリーさんの関心は、机の上だけに閉じていない。

趣味は一人旅、登山、カラオケ。十八番はフランク・シナトラの「Fly Me to the Moon」、好きな映画は「男はつらいよ」。資料には、筋トレについての印象的な考え方も記されている。

彼は「健康な身体は、人格の発達を映し出す」と考えているという。

そして、筋トレと哲学は似ているとも語る。哲学者は精神的弱さを乗り越える。トレーニングは身体的弱さを乗り越える。

この捉え方は、チャーリーさんの強みをよく表している。彼は知性を、頭の中だけで完結するものとして扱わない。考えること、身体を鍛えること、人と向き合うこと、服装で自分を表現すること。それらがばらばらではなく、ひとつの生き方としてつながっている。

だからこそ、彼の姿勢には一貫性がある。スーツを着ることも、哲学を書くことも、外交を志すことも、身体を鍛えることも、自分を形づくる営みなのだ。

「知を愛すること」から始める

資料の中で、哲学について彼はこう説明している。

「哲学は“知を愛すること”。」

哲学とは本来、人間らしい問いについて考えるものだという。最初に読むならPlatoがおすすめだとも話している。理由は、文章が分かりやすく、「哲学を生きた人」だから。

この言葉から伝わるのは、彼が哲学を特別な人だけのものにしたくないという姿勢だ。難しい言葉で遠ざけるのではなく、考えることの入口を開こうとしている。

在学中は、ジャズシンガーとして活動の幅を広げたいという。卒業後はイギリスへ戻り、公務・外交の道へ進むことを見据えている。同時に、執筆や講演などの表現活動も続けていくという。

チャーリーさんの歩みは、まだ途中にある。けれど、そこにはすでに明確な軸がある。

自分の価値観を考えること。異なる文化や人を理解すること。自分の考えを言葉にして伝えること。そして、精神と身体の両方を鍛えながら、自分らしい形で社会と関わっていくこと。

読者にとってのヒントは、彼の肩書きや装いそのものではない。自分が惹かれるものを、どう深めるか。過去の経験や家族の記憶を、どう未来の選択につなげるか。好きなことを、どう生き方の軸に変えていくか。

チャーリーさんは、その問いに対して、日々の装いと学び、そして言葉で答えようとしている。

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